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・ベビーブーム世代は2年後全員が後期高齢者になる。この頃、同い年は260万人以上いたそうだ。

・一方、昨年の出生数は80万人。

・岸田首相は少子化問題を巡り、「異次元の対策」に挑戦すると表明。

 

きのう複数の新聞に目を引く企業広告が載った。「団塊は最後までヒールが似合う」。ヒールとは悪役だ。1947年から3年間のベビーブーム期に生まれた「団塊の世代」は2年後には全員75歳以上の後期高齢者になるそうだ。憎まれっ子のようにしぶとく元気で。

そんな激励のメッセージだろうか。団塊世代の評論家、加藤典洋さんの著書「オレの東大物語」にこんな趣旨の言葉がある。オレたちの成長に伴い校舎は建て増しされ、新しい商品が相次ぎ開発された。社会の側が多数派に合わせて変化する。「自分の中に何か言われのない万能感を植え付けられてしまった」と述懐する。

良く言えば、野心的で自己主張がはっきりしている。年下の世代が皮肉と愛情を込めて言えばヒール、ということか。「生意気、野放図」とは、今は亡き加藤さんの自画像である。同い年が260万人以上もいたとは驚きだ。一方、昨年の出生数は80万人を割ったようだ。少子高齢化は、想定外のペースで進んでいるのだ。

岸田文雄首相は少子化問題を巡り、「異次元の対策に挑戦する」と表明した。ドラえもんのび太の窮地を救う「四次元ポケット」から解決策が…。という初夢を見たわけではあるまい。団塊世代社会保障費が膨らむなか、どんな施策を打ち出すのか。国難に立ち向かう覚悟を語ってほしい。誰かに悪役と思われても。