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・中国の大躍進政策は多数の餓死者を出した。その数は3600万人とも4500万人とも言われている。

・家庭で食卓を囲む伝統を否定し、「公共食堂」なるものを作った。革命的精神で食事も「公有化」した。配給が滞り人々は飢えたのだ。

・それ以来、61年ぶりに中国の人口が減少したという。要因と見られている産児制限も家庭への国家の介入だ。若い世代に息苦しさや悲観的な気分が広がっているのだろうか、当局は言論統制を強めている。翻って同じく人口減の日本はどうか。民主国家だが、こちらも若者は未来への希望を失ってはいないか。そこが心配だ。

 

その言葉、どこかで聞いたことがある。高校の世界史の授業だったか。子供が学んでいた教科書を開くと確かに載っていた。「中国は1958年から『大躍進』政策で工業と農業の飛躍的発展をはかった」。だが、失敗し経済は大きな痛手を受けた、と解説している。

きのうの新聞各紙は、中国の人口が61年ぶりに減少したことを大きく報じた。本紙は、「人口減少は大躍進政策で多数の餓死者を出した61年以来」と伝える。どんな出来事で、どれほどの人が亡くなったのか。新華社通信元記者の著書「毛沢東 大躍進秘録」は、58年から5年間の餓死者を、3600万人と推計する。

ケタを間違ったのでは、と思ってしまう。香港大学の研究者の著書「毛沢東の大飢饉」では、さらに多く、約4500万人と推計する。歴史上、最も悲惨な人災、と総括する。地域に「公共食堂」なるものをつくり、家庭で食卓を囲む伝統を否定。食事も革命的精神で「公有化」した。配給が滞り人々は飢えたのだ。

中国の人口減の要因である産児制限も、家庭への国家の介入だ。撤回したが、今後も少子化は続くと見られる。当局は体制維持のために言論統制を強める。若い世代に息苦しさや悲観的な気分が広がっているのか。翻って人口減の先進国、日本はどうか。民主国家だが、若者は未来への希望を失ってはいないか。そこが心配だ。