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外資系企業で働く広報担当者などが困ることの一つに、謝罪会見へのトップの理解不足がある。経営者自身の過ちではなく法的責任も明確ではない。それでも会見した方がいいと本国や日本法人の社長らに説き、不要論を唱える弁護士らも説得しなければならないからだ。

必要性は理解する日本企業のトップでも経験は乏しい。盛んになったのが内外の企業に向けた謝り方の指南だ。PR専門家やコンサルタントがノウハウを本やネットで公開している。おじぎは5秒。長くても短くても誠意が伝わらない。角度も細かく指定する。登壇者が複数の場合タイミングを合わせる練習も必須となる。

おととい夜、みずほフィナンシャルグループの経営陣が開いた辞任会見も作法にのっとっていた。冒頭も最後もおじぎは5秒強。そろって頭を下げ、社長に合わせて面を上げた。ただしこうした作法も、繰り返すうちに誠実さを感じられなくなると専門家は語る。今年何度も謝罪したみずほの場合、効果はどうだったろうか。

平成から後、出世を目指す若者が減ったと聞く。ポスト不足や独立・起業志向に加え、大手企業で不祥事や経営破綻が相次ぎ「社長とは会見で謝っている人」という印象が広まった点も理由だそうだ。激情型。言い訳型。さまざまな先例に今年、繰り返し型が加わったといえる。若者の夢がまた一段と縮むとしたら、残念だ。