1/21 ウィズオミクロン

コロナ禍が始まったころ、東京都は「対策かるた」のポスターを駅などに張り出した。「進めようステイ東京ステイホーム」「ゆっくりと空を眺めてステイホーム」「取り戻そうSTAYHOMEで笑顔の毎日」。ステイホーム、ステイホームの呪文と言っていい。

当時の記事を調べると、小池百合子都知事は2020年4月の記者会見で初めてこの言葉を使い、以後ひんぱんに口にする。いわば、ステイホームの元祖なのだ。「対策かるた」にもそれが反映されていただろう。そんな自負ゆえか、今回の感染急拡大を受けて、小池さんはまたも「不要不急の外出自粛」を呼びかけている。

げんなりしていたら、政府分科会の尾身茂会長が正反対の話をしているから驚いた。「ステイホームや店を閉めること、外出自粛などは必要ない」。!いま猛威をふるうオミクロン型の備えは「人流抑制より人数制限だ」という。少し舌足らずだが、ウイルスの特性に応じたメリハリある対策を求めているのは分かる。

くだんのかるたは、その後「ウィズコロナ」バージョンが誕生し、ステイホームの連呼は消えた。ここは小池さんも、そして同じ策を繰り返してばかりのお役所や政治家も、考え方を転換して「ウィズオミクロン」に踏み出さねばなるまい。このままでは経済が凍り、社会が壊れよう。ウイルス以上に、不作為が怖い。