11/10 イーロン・マスク

米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が早世して11年が過ぎた。自由の国に受け継がれるベンチャー精神を体現した。「ハングリーであれ。愚かであれ」。スタンフォード大の卒業式で人々を感動させた式辞だ。話題のこの人も金言を実践しているように見える。

ツイッター社を買収した起業家のイーロン・マスク氏だ。禅の精神を学ぶなど、どこか求道者の面影もあったジョブズ氏に比べると、奔放な印象が強い。米中間選挙の投票日の前日にこんな投稿をした。「大統領職が民主党であるならば、議会は共和党候補に投票することをおすすめする」。無党派層有権者に呼びかけた。

SNSは、言論の広場に育った。かつて「ツイッターは政治的な中立性を保つべきだ」と表明していたのだが。どのような心境の変化なのか。マスク氏が経営権を握ってから、差別的な言葉を含む投稿が急増したと報じられた。削除やアカウント凍結の基準はどう変わるのか。方針を探る動きであろう。

米議会議事堂の襲撃事件を受け、トランプ前米大統領のアカウントは「暴力を扇動する恐れがある」として凍結された。中間選挙では多くの共和党候補を支援し、影響力を示した。近く重大発表をするという。凍結を解除するのか。「ホワイトハウスに戻るつもりだ」。そんな投稿が、世界を駆け巡る日が来るのだろうか。