11/11 「み」が増殖中

「み」が増殖中だ。「すごみ」「おかしみ」「ありがたみ」などというときの接尾辞「み」である。一部の形容詞に付いて名詞をつくるのだが、これが最近はいろいろな言葉にくっついている。「やばい」から「やばみ」が生じ、「つらい」から「つらみ」が出現した。

「やばさ」「つらさ」がたんに状態を示すのに対し、「やばみ」「つらみ」はもっと具体的な感覚をあらわすようだ。SNSをのぞいてみれば「やばみ、ハンパない」「つらみの塊」など用例にこと欠かない。数年前から増え、いまやごく普通にこうした「み」が飛び交う。「うれしみ」「ねむみ」「かわいみ」などなど。

言葉の乱れなのか進化なのか。いやいや、この種の持って回った言い方が、もともと日本人は好きだ。ネット空間には「食べたい」が極まった「食べたみがあふれる」、「よくわかる」を強調した「わかりみが深い」といった表現も散見される。待てよ、何かに似ていると思ったら、政治家や官僚の言葉だってこれに近い。

昨今、よく見聞きするのが「検討を加速します」である。岸田首相も口癖の「検討」だけでは素っ気ないと感じているのか、ときどき「加速」を追加する。すごく意味のあることを言っているようで、そのじつ、なんだか抽象的で曖昧な言い回しだ。うーん、あざといなあ。もとい、あざとみが加速しているんだなあ……。