1/28

 

去年の12月のことだ。居住するマンションの管理組合に、警視庁から照会があった。敷地内の防犯カメラの映像を確認したい、というのだ。運用規則によると、管理組合理事会の承認は不要で、理事長の判断で捜査に協力することができる。そういえば自分が理事長だ。

録画を提供した。刑事さんの名刺には「捜査支援分析センター」とある。犯罪の広域化や電子化に対応する組織だ。なんでも12月5日に東京都中野区で3000万円が奪われた強盗傷害事件の捜査なのだという。逃走した容疑者の足取りを追跡しているらしい。道路に面した防犯カメラの映像を記録媒体に複写して帰った。

これが防犯カメラ「リレー捜査」か。なるほどね。だが、その後すっかり忘れていた。事件は急展開を見せる。「強盗団 14都府県の事件に関与か」「闇バイトで実行役を募る」。新聞各紙は連日、大見出しで伝える。捜査員が迫っていた中野区の事件の容疑者が今週、逮捕された。ほかの事件への関与も疑われているという。

実行犯の若者は、高額報酬につられたのか。でも、ちょっと待ってほしい。東京都狛江市の事件のように強盗で人をあやめた場合、死刑か無期懲役だ。人生を棒に振る。一方、指示役は「ルフィ」などと称し、国外にいるらしい。きのう警察庁は首謀者らの検挙に向け捜査会議を開いた。刑事警察の底力を見せてほしい。