3/28 温暖化と桜の開花

朝食後に薬を飲んだ方、おられますか。花粉症の予防だろうか、それとも高血圧の治療か。いずれにしろ錠剤の包装シートに注意を払った向きはそういまい。プラスチックやアルミニウムからなるシートを回収してリサイクルし、脱炭素につなげる動きがあるらしい。

製薬会社の取り組みとして、本紙が伝えていた。折しも、国連の政府間パネル(IPCC)が報告書を公表し、強い調子で温暖化への対策を訴えたばかり。産業革命前に比べた平均気温は既に1.1度上がり、今後10~20年で、1.5度に達する恐れがあるそうだ。異常気象による災害のリスクが高まる。

実際、世界各地で洪水や干ばつ、海面上昇が起き、日本も毎年のように豪雨による被害に脅かされる。春をいろどるソメイヨシノにも影響が表れているのだろうか。気象庁のデータをみると1980年代、東京では4月の開花が4回あった。だが、それ以降は早まる傾向で、ここ数年は3月中旬に咲き始める例も出ている。

報告書は、2035年に温暖化ガス排出量を19年比で約60%削減する必要を示した。薬の包装シートをめぐる動きは小さいかもしれない。しかし、暮らしの細部も含め総力戦で脱炭素に当たるべしとの意識は高まるだろう。国連の事務総長は「気候の時限爆弾が針を進めている」と述べたという。特効薬はただひとつ。「今すぐ行動を」。