6/3 沖縄戦と豪雨

南方から台湾を目指すように進んできた台風2号。進路をぐいっと右に曲げて沖縄を直撃し、けがや停電などの被害を与えた。その後は台風接近の影響で本州や四国など列島各地が大雨に見舞われている。何かが南の島からこの国に近づく時、まず上陸するのが沖縄だ。

1945年、同様に進路を急に変えたのがコニー台風だった。6月4日から5日にかけて、沖縄近くにいた米艦隊は台風の動きを読み違え、空母や艦載機に多大な損害を出す。気象庁出身で「気象学と気象予報の発達史」などの著者、堤之智さんがブログで解説している。米軍はこの後、太平洋での気象観測機能を強化したという。

先の大戦を振り返り死者を追悼する季節といえば多くの人が夏、8月を思い浮かべる。沖縄では組織的な戦闘が終わったとされる6月23日が慰霊の日だ。春に始まった地上戦は梅雨も続き、沖縄戦を豪雨、泥、ぬかるみとともに記憶している人は日本、米国ともに多い。雨の中で砲弾から逃げた体験を住民らが語っている。

人類は戦争や独裁といった愚行と縁を切り、天災や感染症、貧困、食料不足などの共通の課題を克服するため一致団結する。そんな未来図が遠のくかのような昨今だ。しかし決して夢物語ではない。大事なのは知識と想像力だ。例えば沖縄の歴史や現状も、折にふれ皆で学び、思いを巡らすことの一つではないか。