2/27 繰り返される戦争

第2次大戦下、ベラルーシに住む17歳の少女がナチスドイツとの戦いに志願し衛生係として従軍する。現場は悲惨だった。大勢の青年が兵士として送りこまれ、次々に倒れていく。あと数分の命の若者にキスをし優しく言葉をかける。それ以外、何の助けにもなれない。

女性たちの戦争体験を聞き書きした「戦争は女の顔をしていない」(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著、三浦みどり訳)に載る証言の一つだ。著者は独ソ戦の主戦場、ウクライナ生まれのベラルーシ育ち。17歳の少女は戦場で思う。こんなつらい思いをした人たちは、きっと互いをいたわり合うようになる。

現実はニュースで見る通りだ。作家アンドレイ・クルコフの「ウクライナ日記」(吉岡ゆき訳)によれば、原著が出た2014年には東部を親ロ派が押さえ「人々は戦争の振動を感じていた」。ロシアはウクライナでの戦争を欲しており、プーチンは夢見る人ではなく計画を実行する人間だとの見立ては当たってしまった。

ある島で「守備隊全員が戦死」(米CNN)するなど死者の数が日々増える。映像では戦車が走る雪原も、春には花が咲くかもしれない。野の草を少女が摘み、その夫は戦場へ赴く。そんなウクライナの子守歌をもとにした米国の反戦歌「花はどこへ行った」は、こう繰り返す。「一体いつになれば、人は学ぶのだろう」。