3/4 核シェアリング

カーシェア、ルームシェアワークシェア…。モノやサービスを共有したり、仕事を分かちあったり、近年何かと注目されるのがシェアリングの発想だ。これを支える新しいビジネスも次々に生まれている。持続可能な社会づくりのためにシェア経済の役割は重い。

それに比べて、こちらの「シェア」はいかにも物騒だ。ロシアによるウクライナ侵攻で世界の安全が揺らぐなか、日本国内に米国の核兵器を配備し、共同で運用する核シェアリングを議論すべしという声が沸き起こっている。自民党の一部の議員から指摘が出たのに加え、日本維新の会も議論を求める緊急提言を政府に提出した。

「持たず」「作らず」「持ち込ませず」を、不磨の大典みたいに扱う必要はあるまい。しかし、この侵攻のもたらす緊迫感に刺激され、にわかに勇ましい意見が噴き出す空気の何と危ういことか。ネット空間には「目には目を」とばかり、日本の核武装を唱える投稿があふれる。そんな状況下の騒ぎである。

プーチン大統領はロシアの持つ核をちらつかせ、威嚇に余念がない。ラブロフ外相は第3次世界大戦は核によって「破壊的なものになる」などと発言した。こういう脅威に対して、ならばこちらもとエスカレートするのでは同じ土俵に上がる仕儀となろう。シェアするならば反戦の思いを、ウクライナの苦戦への想像力を。