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この男性たちは何歳でしょう。先日ある消費者調査の発表会で、研究者から聴講者にそうしたクイズが出題された。皆の前には5枚の人物写真。20代から60代まで各世代1人だという。簡単そうだが、実は難問だった。顔の部分を隠した、首から下だけの写真だったからだ。

一般男性らの普段着姿で、高価ではないがこざっぱりして、少しおしゃれ。体型も一様にすらっとしている。調査を手がけた博報堂総合研究所は、この種の現象を「消齢化」と名づけた。消費スタイルから年齢差が消えつつあるという意味だ。外見だけでなく、食べ物や趣味などでも同じ傾向がみられるという。

携帯電話は不可欠。肉料理が好き。これらの価値観は20年前は主に若者のものだったが、2022年の調査では高齢者も並んだ。夫婦別姓、女性上司、男性の育休も、以前は主に若者層で支持や許容度が高かったが、いまは高齢者も大差ない。「年相応」や「適齢期」に縛られない人たちが増えていると同研究所は分析する。

このまま世代による違いは消えていくのか。気になるのは年齢による差が年々開いている項目だ。「海外の出来事に関心がある」と答えたのは、高齢者では増えているが若者は低いまま。「日本は危機管理をもっと進めるべきだと思う」では高齢者層は高止まりだが若者は年々減っている。内向き志向の表れだろうか。