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「世界のどの地においても、何の罪もない子どもが暴力による死を遂げるようなことがあってはなりません」。ドーン・アナさんとブルース・ベックさんの娘ローレンさんは1999年、18年の短い生涯を閉じた。米コロンバイン高校銃乱射事件の被害者である。

2人は、2年後に日本で起きた大阪教育大附属池田小事件の遺族と交流を重ねた。娘麻希さんを亡くした酒井肇さん、智恵さん夫妻。2013年に共同で出版した「たましいの共鳴」(明石書店)には最愛の我が子を失った喪失感と遺族に寄り添う支えの意味、そして学びの場の安全を守る決意が切々とつづられている。

池田小の事件からきのうで21年。もう親になった同級生もいるだろうか。歳月が過ぎる早さを思う。事件を機に学校の安全対策が叫ばれたが、最近は危機意識の薄まりも指摘される。警察に異常を通報するシステムを設置する学校が減っている、と本紙に記事があった。「風化」の一言で済ませていい話ではもちろんない。

「あってはならない」はずなのに。米テキサス州の小学校では先月、児童ら21人が銃弾に命を奪われた。この瞬間も、悲しみに打ちひしがれる父や母がいる。銃規制強化の話は前に進むのだろうか。アナさんらの訴えはこう続く。「このような悲劇の後に問われるのは、人類の責務です」。簡潔な言葉がずしりと重い。

 

大阪教育大附属池田小で児童らが殺傷された事件からきのうで21年。もう親になった同級生もいるだろうか。当時は事件を機に学校の安全対策が叫ばれた。しかし最近はその危機意識の薄まりが指摘される。異常を検知し警察に通報するシステムを設置している学校が減っているそうだ。「風化」の一言で済まされる話ではないだろう。先日アメリカのテキサス州の学校では銃乱射事件が起きた。銃規制の議論は進むだろうか。かつて我が子を銃乱射事件で亡くした夫婦の言葉がずしりと重く響く。「このような悲劇のあとに問われるのは、人類の責務です」。